蜀のクリスマス 蜀王となった劉備はあることで頭を痛めていた。毎年恒例のクリスマスパーティーをどうするかで悩みに悩んでいたのだ。 そんな時、彼はいつも決まって謀臣・諸葛亮に相談するのであった。 「おう。孔明か。すまないな。こんな時間に。」 「いえいえ。大王様こそ何か悩み事でもあるのですか?」孔明は羽扇を仰ぎながら言った。 「ああ。よく分かってくれたな。」劉備は、難しい顔をしていた。 「孫権との国交ですか。 なら、出兵はやめるべきでしょう。」 「いや、違うのだ…」 「何かほかに悩み事でも?」孔明は、素直に聞いた。 「ああ。今年のクリスマスパーティーをどうするかでな。」 「(大王様ってクリスチャンだったんだ)では、益州の山々にて『温泉スキー 一泊二日の蟹食べ放題ツアー』 なんていうのはどうでしょう?」 「おお、それだ。それ。 文武百官をリラックスさせるためにも良いかもしれないな。」劉備は手を叩いて喜んだ。 そして、クリスマスのプランはその方向で話は進められた。 当日 「よし。ついたな。ここならスキーもボードも出来るだろう。」劉備は、『蜀』と書かれた旗を立てながら言った。 「兄者、クリスマスにスキーなんてイカすじゃねえか!!!!」張飛が劉備の肩にもたれながら言った。 「拙者もこのプランはなかなかいいと思っていたがここまで楽しいとは。」関羽も、顎鬚をいじりながら言った。 「ホワイトクリスマス……なかなか良いものですね。」孔明も喜んでいた。 「よし。皆の者、本日は集まってくれてありがとう。では、早速スキーと行こうじゃないか!!!!」劉備は、自分の板まで持参していた。 全員が一斉にリフト乗り場にダッシュした 「せ、星彩、一緒にリフトに乗らない?」関平はどもりながら星彩に聞いた。 「……リフト……いいけど……私上級者よ。 勿論………関平も上級者……よね」 「(うっ…実は拙者は今回で二回目なのに…)ああ。うん。そうだよ。」 「んじゃ行きましょ。」 カチャカチャカチャ…………(リフト効果音) 「ついたわ……滑りましょ。」星彩はボーダーなので、すべる準備をしていた。 「拙者はスキーなので一緒には行けない…(逃げちゃお)」関平は冷や汗を流しながら言っていた。 「大丈夫。待ってあげるわ…」 「おやおや、お若いの。アツいねぇ。全くあっしには関係ないけどよ」ホウ統がリフトから降りてきた。 「士元様……あなたもボード……?」 「星彩ちゃん。あっしもあんたぐらい若いときはもっと滑っていたけどねぇ。今じゃこの腰が痛むからねぇ。 んじゃ、お先に。」ホウ統はそういい終わると、直滑降で坂を下っていった。 「せ、拙者も行くよ。」関平は唐突に叫んだ。 「関平……顔青い。」 「だ、大丈夫……… ワァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!!」 「断末魔……関平……逝ったの?」 そんな時、魏、呉には少しずつクリスマスパーティーが影響し始めた。 建業… 「兄様、蜀はクリスマスパーティーを開いたそうね。」 「尚香、行きたいのか?」 「御兄弟お揃いで。今後孫呉がどうするべきかのご相談ですか?」周瑜が部屋に入っていた。 「おお周瑜、調度良い時に来たな。これから蜀のクリパに行くか行かないかを相談していたのだ。」孫権が言った。横で、孫尚香が相槌を打つ。 「(クリパ…)いいかもしれませんね。私も同行願います。」と周瑜。 「公謹がついてきてくれるなら安心だ。よし、行くぞ!!!!」 ギョウ… 「ヌウウ…退屈だ。」曹操は、椅子に座りながら近くにいた張コウに言った。 「退屈とは美しさの象徴。なら、蜀のクリスマスパーティーに行ってみてはどうです?」 「そうだな。ならもう一人供を……そうだ。司馬懿だ!!!!今すぐ彼を呼べ。 早速行くぞ。」 曹操は、電光石火のごとき速さで蜀へと行った。 益州某旅館 宴の間 「さてと。温泉にも入ったし、食事だな。」劉備はスキーでコケてボロボロになりながらも笑顔を絶やさなかった。 「よおし!!!酒宴だ酒宴、酒をだせぇ!!!」張飛は見た目によらずスノーブレードの名手だったので、一度も転ばず体には傷一つ無かった。 「落ち着かれよ翼徳殿。 皆が来るまで待ちましょう。」趙雲はストックを強く刺し過ぎてしまうめ転び、顔面から血を流していたが極めて冷静だった。 「そろそろ夕食の時間だと思いますが…あ、準備完了したようです。丞相ーーーーー!!!!!」姜維は叫んだ。 「そういえば黄忠殿の姿が見えないねぇ。」ホウ統は傷一つ無いが咳き込んで言った。 すると突然 「メリークリスマス!!!!!」 赤と白の服に身を包んだ黄忠がそりに乗ってやってきた。すると、蟹を矢に射すとそれを一人一人の皿に命中させた。 「よしよし。孫権、曹操 餌だぞ。」黄忠はあまった蟹を彼らにあげた。そう。トナカイは呉と魏の重臣だったのである。 「ハハハハハ。よくやったぞ黄忠。見よ。雪だ。」劉備は窓を指差した。雪が降っていた。 ホワイトクリスマス まさにその言葉が似合う夜であった。 完 |